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片頭痛

暑くなったり寒くなったりで体調を崩しやすい時期が続いています。
4月から新学期や新生活が始まり、GWの後に疲れがでてきた方もおおいのではないでしょうか。

前回の頭痛に続き、今回は片頭痛についてお話ししたいと思います。本邦において片頭痛の有病率は8.4%であり、おおよそ12人に1人といわれています。

症状
・前兆のある片頭痛と前兆のない片頭痛があります。前兆とは、キラキラした光、ギザギザの光が視野に表れて見えずらくなるなどの視覚の症状(90%)、その他、チクチク感、言葉が出にくくなるなどです。
・頭痛が始まる前に,なんとなく頭痛が起こりそうな予感や気分の変調,眠気,疲労感,集中力低下,頸部の凝りといった症状を経験する場合がありますが,これは前兆とは区別して「予兆」といいます。
・頭痛は片側性(片側)、両側性の両方の場合があります。
・吐き気や嘔吐を伴うことがあります。
・拍動性(ドクンドクンする)。
・体を動かすと頭痛が強まる。
・一般的には、頭痛は4時間~72時間ほど続きます。

原因
片頭痛のメカニズムは確定していませんが、神経説、血管説、三叉神経血管説が病態の仮説として提唱されています。
片頭痛には、ひとによって誘因があることがあります。誘因は、ストレス、ストレスからの解放、疲れ、睡眠の過不足、月経周期、天候の変化、光、温度差、におい、光、運動、欠食、性的活動、旅行、空腹、脱水、アルコール、特定の食品などです。

治療

⚪︎頭痛発作時の治療(急性期治療)

お薬
① 鎮痛薬を内服する(アセトアミノフェン、ジクロフェナク、イブプロフェンなど)
市販薬でも効果がある薬剤であれば結構です。

② ①の効果が乏しい時は、トリプタン製剤(内服、点鼻、皮下注射など)
頭痛が軽度か、頭痛が出てから1時間以内くらいのうちに使用します。

③ 嘔気を伴う場合、制吐剤を①、②と併用できます。
その他、いくつか選択肢となるお薬があります。

漢方薬、セルフケアなど
・東洋医学(中医学)では、頭痛の患者さんの証に応じて漢方薬が有効な場合があります。
例)
痰飲証(慢性的な水の滞り):苓桂朮甘湯
瘀血証(血の滞り):冠元顆粒、血府逐瘀丸
風寒証(寒邪や風邪といった外からの刺激による):川芎茶調散、呉茱萸湯

・手三里(てさんり)、合谷(ごうこく)という手と腕にあるツボを刺激してみてください。

・体を動かすと痛みが増すことがあるので、安静にしてください。自分の頭痛がらくになる方法を知っておくとよいです。

・症状が軽いうちに誘因を除去したり、誘因に応じた対処をしたりしてください。

⚪︎予防療法
片頭痛発作が月2回以上、あるいは生活に支障をきたす頭痛が月3日以上ある場合、急性期治療のみでは発作時に日常生活に支障がある場合は、予防療法も検討されます。
予防療法の目標は、頭痛発作の頻度を減らす、痛みの軽減と持続時間の短縮、急性期治療が効くようになる、生活への支障を少なくすることです。

お薬
予防療法に用いる薬には、古くから経験的に有効性が示されているもの、研究で有効性が示されているものなどが数種類あります。まずは少量から開始して、ゆっくりと増やして十分な量として2-3か月かけて効果をみます。効果が得られて安定したら、徐々に薬の量を減らして中止します。

漢方薬、セルフケア、ハーブなど
・誘因がある場合は、できる範囲で避けられるといいと思います。避けられない場合は、頭痛が起きることを想定してその後のスケジュールを緩くするなどの対策をとれるといいと思います。

・マグネシウム(Mg)、ビタミンB2(riboflavin)、feverfew(ナツシロギク)は研究により片頭痛の予防効果が示され本邦のガイドラインにも記載されています。市販のサプリメントなどで摂取します。

・東洋医学では、一部の頭痛は「体の流れの停滞」ととらえられます。その停滞の原因は、ストレス、疲労、運動不足、暴飲暴食などの積み重ねと考えられ、生活習慣を変えていくことで改善に繋がると考えられます。これは大切だと思うので、ぜひ取り組んでみてください。

・海外では、電気刺激・磁気刺激が予防に使われ始めており、本邦でも今後普及する可能性があります。

困っている方はお気軽にご相談ください。

次回は緊張型頭痛と頭痛のお薬以外の治療についてお話ししたいと思います。

室堂で雷鳥に会いました。毛がふさふさでかわいらしかったです。