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破傷風(はしょうふう)tetanus

破傷風は、外傷を受けたときに土壌中にいる破傷風菌が傷口から侵入し、受傷部位で産生する毒素によって、神経障害、強直性痙攣などをきたす感染症です。その数はワクチンの定期接種化、社会衛生環境の整備などに伴って激減し、死亡率も麻酔集中治療管理の普及によって劇的に改善しました。一方で、世界ではいまだに年間5万人以上の死者が出ており、うち約2万人は新生児破傷風です。本邦でも年間約50~100例程度の報告があります。

ワクチンが推奨される方

  • 災害支援に従事する方
  • 野外活動(登山、屋外スポーツなど)で土壌で怪我をするリスクがある方
  • 動物・土壌を扱う方 (獣医、農作業、工事現場など)
  • 最後の接種から10年以上経過している方
  • 定期接種を受けていない1967年以前生まれの方

1. 外傷前の予防

日本での接種様式

乳幼児期に、ジフテリア・破傷風・百日咳3種混合ワクチン、またはジフテリア・破傷風・百日咳・不活化ポリオ4種混合ワクチン、または5種混合ワクチンを4回接種し(Ⅰ期接種)、11~12歳時にジフテリア・破傷風2種混合トキソイド(DT)を接種します(Ⅱ期接種)。その結果、約10年間免疫が保たれます。10年経過後(20歳前半)は、10年に1回、DTまたは沈降破傷風トキソイドを追加接種して免疫を強化することをお勧めします。

なお、破傷風トキソイドがジフテリア、破傷風・百日咳3種混合ワクチンとして小児に接種され始めたのは1968年のことです。このため、1968年以前に生まれた人々では、破傷風トキソイドが含まれていないジフテリア・百日咳2種混合ワクチンの接種を受けていて、破傷風に対する免疫のない人が多いと考えられます。1967年以前に生まれた人は、破傷風トキソイドを約1か月間隔で2回、さらに12~18か月後に3回目の接種を受けて基礎免疫をつけることを推奨します。

※沈降破傷風トキソイド「生研」(デンカ株式会社・田辺三菱製薬株式会社)の出荷停止が続いていました。2025年7月29日から出荷再開となりましたが、当面の間、限定出荷 となっており、入手が困難な状況です(2025.11.8現在)。

2.外傷後の予防

外傷を受けた場合は、破傷風の発症予防のために、沈降破傷風トキソイドや抗破傷風人免疫グロブリンを投与します。

外傷の創状態(破傷風をおこす可能性の高い/低い創)とワクチン接種歴(接種回数・最終接種からの経過年数)を確認し、破傷風リスクの評価を行い、トキソイドやグロブリンを適切に投与します(表1.)。

破傷風をおこす可能性の高い創:汚染創、穿刺創、壊死組織を伴う創、受傷から6 時間超など                      破傷風をおこす可能性の低い創:清潔な切創、浅表創など

表1.創傷処置における破傷風予防指針

破傷風のワクチン接種歴    (回)       破傷風リスクの高い創       破傷風リスクの低い創
沈降破傷風トキソイド抗破傷風人免疫グロブリン沈降破傷風トキソイド抗破傷風人免疫グロブリン
    不明      +      +      +      ―
    0~1      +      +      +      ―
    2      +      +      +      ―
    3~     ー*①      ―     ―*②      ―

*最後のトキソイド注射から①では5年以上、②では10年以上経過している場合は必要