
喉が痛い、という訴えは、実は喉(咽頭・喉頭)以外の疾患のことも多くあります。
しかし、唾を飲み込んだ時に痛い、という場合は、ほとんどが咽頭・喉頭の病変で、その多くは感染による咽頭炎です。そのほとんどはウィルス性(風邪)であり、細菌性のこともありますが基本的には自然に治ります。
このように、咽頭炎の大半は特別な治療は必要ありません。しかし、A群溶血性連鎖球菌(A群溶連菌)による咽頭炎・扁桃炎の場合は治療の適応です。
本日、喉が痛い、という主訴で26歳の女性が受診しました。
昨晩39℃の発熱があり、喉がとっても痛い、と言います。鼻汁、咳はありません。右の顎の下のリンパ節が腫れており、押すと痛みがあります。口を開けてもらって喉を見ると、扁桃は腫れてはいませんが、白い滲出物(白苔)がついています。
この患者さんは、一般的なウィルス性の咽頭炎とは少し違います。
喉の痛みが強い、鼻汁や咳がない(典型的な風邪は鼻汁、喉の痛み、咳があります)、扁桃腺に白苔があり、右前頸部リンパ節の腫れが強いという点です。
A群溶連菌の感染が疑われ、確認のために迅速検査をしたところ陽性でした。
A群溶連菌性咽頭炎と診断して、アモキシシリンという抗生剤を10日間処方しました。
A群溶連菌咽頭炎・扁桃炎
・A群溶連菌が咽頭・扁桃に感染して炎症を起こした状態で、5-15歳の小児の咽頭炎全体の15-30%, 成人の5-15%といわれています。
・38℃以上の発熱、強い喉の痛み、圧痛のある前頸部リンパ節腫脹、扁桃の白苔をみることが多いです。
・典型的には鼻汁、咳はありませんが、これは、細菌は一つの臓器に感染という原則通りです。
・ペニシリン系の抗生剤で治療しますが、その理由は4つです。
①治療なしでも数日で解熱することが多いが、治療すると多少早く良くなる。
②リウマチ熱という合併症(稀)の予防になる。
③合併症(扁桃周囲膿瘍、中耳炎・副鼻腔炎など)の予防。
④周囲のひとに感染させにくくする。
治療期間は10日間と長く、途中で改善しますが、上記の理由のため10日間しっかりと服用してください。
喉の痛み、こんな時はすぐ病院へ!
口が開かない、唾がのみこめずによだれを垂れる、呼吸困難
(扁桃膿瘍、急性喉頭蓋炎といった緊急性のある疾患の可能性があるため)
咽頭炎の治療・セルフケア
薬剤
・A群溶連菌によるものでなければ、ほとんどが自然に良くなり、5-7日間で治癒します。
喉の痛みがつらい場合は、鎮痛薬を内服すると痛みが軽減します。非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、アセトアミノフェン、アスピリン、イブプロフェンのいずれの鎮痛薬でも軽減します。
漢方薬、ツボ
・発熱、頭痛、喉の痛み、喉のイガイガ感がある風邪の場合は、風邪と熱邪によると考えます。悪寒(おかん)がないごく初期の段階であれば、銀翹散(ぎんぎょうさん)という漢方薬を服用すると早く良くなります。銀翹散はドラッグストアで購入できるので、置き薬をしてストックしておくとよいと思います。
・喉の炎症が起きているときには、香辛料や熱い飲食物を摂るのは控えましょう。清熱効果を持ったダイコン、カリン、柚子、緑茶、はちみつ、ナシなどを摂るとよいです。
・ツボ (押したり、お灸をしたり刺激してください)
尺沢(しゃくたく):手のひらを上にして肘を曲げ、横じわの真ん中から指幅2本、親指側のところ。咳、喉の腫れや痛み、熱症状の緩和に。
孔最(こうさい):肘を曲げた横じわから、手首の方へ指幅4本のところで親指側。急な咳、喉の腫れや痛みの緩和に。

セルフケア
・ハーブ:喉の痛みや口内炎など口の中のトラブルには、セージ(Salvia officinalis)です。セージのティーがおすすめです。タイムやペパーミントをブレンドしたり、子どもにはハチミツを入れたりすると飲みやすくなります。
・乾燥を避けて加湿する方がよいです。タバコの煙は避けましょう。
風邪以外の喉の痛みについては、またお話ししたいと思います。