病態
イヌ、ネコ、ヒトの口の中には細菌がたくさんいます(Streptococcus aureus, Capnocytophaga sp., Eikenella corrodens, Peptostreptococcus, Pasteurella multocidaなどなど)。イヌ、ネコ、ヒトなどに噛まれた場合、傷口からこれらの細菌が皮膚などに感染を起こすことがあります。噛まれた直後は噛み痕くらいであっても、ネコの咬傷では噛まれてから半日程度、イヌでは1日以上経ってから痛みや発赤など感染の兆候が出てくることがあります。
受傷後の対応
噛まれた場合は、まず傷口を流水と石鹸で十分に洗浄してください。
ネコの爪や牙は細く鋭いために、刺入口は小さくても傷が深くて骨や関節に及ぶことが多いため、ネコの咬傷は程度や部位に関わらず、病院を受診することをおすすめします。
ネコ以外のイヌやヒトによる咬傷でも、次のような場合は受診した方がよいです。
・手や足の咬傷
・関節部分の咬傷
・穴があいたような深い創(穿孔創)
・免疫が低下する持病のある方(糖尿病、肝・腎臓機能低下)
・高齢者
もし夜間であれば、翌朝に受診しましょう。
治療・予防
すでに感染が起きている場合は、治療のために抗生剤を処方します。
まだ感染は起きていなくても予防的が必要と判断した場合は、3-5日間、感染予防のために適切な抗生剤を処方します。
処方例)オーグメンチン250mg1回1錠1日3回内服+アモキシシリン250mg1回1錠1日3回内服
創の状態に応じて、破傷風の予防のために破傷風トキソイドを接種することもあります。破傷風トキソイドの接種歴を確認したいので母子手帳があればお持ちください。
『狂犬病は大丈夫なの?』〜海外渡航のためのワクチン〜
狂犬病とは狂犬病ウィルスを持つ動物(人への感染はほとんどがイヌ)に、咬まれたり引っ掛かれたりしてできた傷口から、ウィルスが侵入して感染する病気で、発症した場合の致死率はほぼ100%です。
日本では1956年を最後に人での国内感染例は報告されておらず、現在、国内でイヌに噛まれたときに狂犬病を心配する必要はありません。
しかし、日本の周辺の国を含む世界の多くの国々では狂犬病は発生しており、渡航時は注意が必要です。
渡航先が狂犬病の発生地域で、かつ狂犬病感染動物と接触する可能性が高い場合は、渡航前に狂犬病ワクチンを接種して予防することができます(曝露前免疫)。また、渡航地で狂犬病感染動物に噛まれた後に、発症を予防するために狂犬病ワクチンを接種します(曝露後免疫)。
渡航前に狂犬病ワクチンの接種を検討されている方はご相談ください。
>当院で取り扱うワクチンについて
