麻しん(はしか)とは?
麻しんウイルス(Measles virus)による急性ウイルス感染症です。感染経路は、接触感染・飛沫感染・空気感染で、感染力が強く、家庭内などの密接な接触環境では、免疫のない人が感染者にさらされた場合、90%が感染すると報告されています。
次に麻しんの一般的な経過を示します。
◎第1~4病日:カタル期
38~39度の発熱、鼻汁、咳、結膜炎、コップリック班(口の中の白い点)
この段階が最も感染力が強い時期です。風邪を見分けがつきにくいです。
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◎第4~5病日:発疹期
高熱(40度前後)と全身の発疹拡大
耳の後ろ・顔から出現した発疹が、体幹・四肢へと広がります。発熱が再上昇して、この時期が最も体調が悪くなります。
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◎第7~10病日:回復期
発疹の消退と解熱
合併症がなければ回復していきます。
麻しんの急増
今年(令和8年)は国内で4月15日時点で感染者が299人となり、前年度の同時期の3.8倍です(感染症発生動向調査(IDWR))

急増の要因としては、コロナ禍で麻しん感染者に触れる機会が減ったことによる社会全体の免疫の低下、小児の麻しんワクチン接種の遅延や接種率の低下などが考えられています。
麻しんの何が問題か?
・強い感染力
基本再生産数(R0)は、12〜18人です。つまり、1人の感染者から最大18人に感染させるという意味で、感染症の中でも最強クラスの感染力です。その要因の一つは、空気感染するためです。感染者が咳やくしゃみをすることで発生したエアロゾルが空気中を漂い、最長2時間も感染性を持つため、離れていても同じ部屋にいるだけ、あるいは後から同じ部屋に入っただけでも感染するリスクがあります。手洗い、マスクという感染対策では防ぎきれないところがあります。
また、麻疹は発疹が出てから診断されることが多いのですが、発症日の1日前から解熱後3日間を経過するまで感染力があり(発疹が出る数日前から感染力強まる)、気づかないうちに感染させてしまいます。
・合併症
中耳炎、肺炎を合併することがよくあります。肺炎は入院を要することが多く、特に乳幼児・免疫不全者で重症化しやすいです。先進国であっても、1000人に1人が脳炎を発症し、1000人に1人が死亡するといわれます。
また、亜急性硬化性全脳炎(SSPE)という合併症は、麻疹に感染後に治癒したように思えても、ウイルスが脳に潜んでゆっくり増え、数年後(5-10年後)に発症することがあります。罹患者の数千人に1人と稀ですが、致死的です。
・麻しんは子どもの軽い病気ではありません。小児はもちろんのこと、成人が感染しても重症化しやすく、妊婦が感染すると流産・早産のリスクが上昇します。
予防するには?
・麻しんワクチンを2回接種します。
大人の方も自分の母子手帳を確認してください。過去に1回しか接種していなければ、速やかに2回目を接種することをおすすめします。
過去のワクチン接種歴が不明な場合は、麻しんワクチンを2回接種する、または血液による抗体検査を行い抗体の有無を確認します。
・麻しんを社会から排除するには、約95%のワクチン接種率が必要です。つまり、社会全体の100人に95人が麻しんワクチンを接種しているという状態で、これが集団免疫です。
麻しんワクチンは生ワクチンのため、免疫不全の方、妊婦の方、生後6ヶ月未満の乳児などには接種できません。それらの方を守るためにも、集団免疫は有用です。
お願い
・発熱や湿疹があり麻しんが疑われる方は、直接ご来院せずに、事前にお電話でご連絡ください。院内感染を防ぐためです。よろしくお願いします。
お知らせ
・当院ではご予約で麻しんの予防接種(麻しん単独のワクチンは現在は流通していないため、MR(麻しん風しん)ワクチンとなります)、抗体検査が可能です。お困りの方は、先に方針を相談していただくこともできます。お気軽にご連絡ください。
対策・予防ができる感染症ですので、あせらず適切に対応していきましょう。
参考文献)
・日本感染症学会 麻しんに注意! 麻しん(はしか)に注意 | 日本感染症学会
・くつ王アカデミア 麻しんの流行に備えよう!
・感染症発生動向調査(IDWR)