内科 応急処置・予防 健康診断

脂質異常症 (1)  なに、なぜ、どうしたら?

雪の日が続いていますね。
2月25日に射水市の保健センターにて、脂質異常症の講義を行う予定です。ここでも脂質異常症についてお話ししたいと思います。

脂質とは?
血液中に含まれる脂質は、私たちが生きていく上で必要不可欠で、次のような働きをしています。
LDL(悪玉)-コレステロール
細胞に取り込まれて、ホルモンや細胞膜を作る
HDL(善玉)-コレステロール
血管の壁に貯まったり、体内で余ったコレステロールを肝臓に戻す、抗酸化作用、血栓予防作用、血液を固まりにくくする
・中性脂肪
脂肪組織に蓄えられてエネルギー貯蔵庫、皮下脂肪となって体温の保持、衝撃から体を守るクッションの役目


脂質異常症とは?
しかし、これらの脂質のバランス崩れると、体によくない影響を及ぼします。脂質異常症には次の3種類があります。
・高LDLコレステロール血症:LDL-コレステロールが多いタイプ
・低HDLコレステロール血症:HDL-コレステロールが少ないタイプ
・高中性脂肪血症: 中性脂肪が多いタイプ

脂質異常症はどのような良くない影響をもたらすのでしょうか?
動脈硬化を起こし、心筋梗塞、脳梗塞になりやすくなります(図1)。これらを予防するために対策・治療を行うのです。
・高LDL・低HDLコレステロール血症
 余分なLDL-コレステロールが血管の壁に沈着・蓄積、血管の壁に炎症を起こして血管の壁を傷つけます。
 HDL-コレステロールが少ないと、余分なコレステロールが十分に回収されず、たまったままになります。
・高中性脂肪血症
 動脈硬化の直接の原因にはなりませんが、中性脂肪が増えすぎると、LDL(悪玉)-コレステロールが増え、HDL(善玉)-コレステロールが減りやすくなります。
 中性脂肪が500mg/dL以上では、急性膵炎のリスクが高まります。

図1 血管の動脈硬化と血栓形成
出典:国立循環器研究センターHP



脂質異常症の診断は?


なぜ、脂質異常症になるのでしょうか?
大きな要因は、生活習慣、とくに食生活と運動、喫煙です。
詳しくは、過食、多量の飲酒、運動不足、脂質のとりすぎ、高カロリー食、喫煙、高血圧、糖尿病、遺伝的要因などです。

では、LDL-コレステロールはどれくらいまで下げればよいのでしょうか?
これは、個々の動脈硬化による疾患の発症リスクにより異なります。動脈硬化による疾患の発症リスクを評価し、低リスク、中リスク、高リスクに分けて、LDL-コレステロールの目標値を設定します。動脈硬化による疾患の発症リスクとは以下のものです。
・冠動脈疾患(心筋梗塞、狭心症など)またはアテローム血栓性脳梗塞になったことがある
・糖尿病
・慢性腎臓病
・末梢動脈疾患
・性別
・高血圧
・喫煙
・HDL-Cの数値

これらのリスクの数などにより、以下のように低・中・高リスクにわけて、目標値を設定します。

動脈硬化による疾患の発症リスクに応じた脂質管理目標値

次回は、予防・治療についてお話ししたいと思います。
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