風邪をひいたときの、漢方薬と養生について、お話したいと思います。
どこかで、風邪のひきがけには葛根湯、と聞いたことがあるかもしれませんが、すべての風邪に葛根湯が有効な訳ではありません。
漢方薬・養生を決めるには、その風邪に“寒気や悪寒(おかん)”があるか否かが重要です。
寒気や悪寒がある風邪は、身体の表面に取りついた“寒邪(かんじゃ)”が悪さをしていると考え、身体を温める漢方薬や養生をして、寒邪を身体の外に追い出します。この場合は、桂枝湯、葛根湯、麻黄湯、小青竜湯といった漢方薬を用いることがあります(これらを汗の有無、体力などにより使い分けます)。体を温める漢方薬たちなので、湯に溶いて飲む、部屋を暖かくして足元を温めつつ早く寝るというのがポイントです。温かい飲み物、長ネギ、生姜、ニンニク、しそ、シナモンといった食材がおすすめです。
これらの漢方薬や食材は、基本的には寒気がなくなり汗をかくまで続け、汗をかいたら終了します。よって、風邪のひきはじめ(最初の1ー2日間くらい)だけ使います。
逆に、悪寒や寒気がなく熱感だけの場合は、“熱邪(ねつじゃ)”が身体に悪さをしていると考え、熱を冷ます漢方薬や養生が必要です。
最も多いのは、悪寒・発熱がなく、喉が痛いという風邪です。
漢方薬としては、OTC医薬品でドラッグストアで購入できる銀翹散(ぎんぎょうさん)が代表的です。これも、ひきはじめの熱感の強い時期(最初の1-2日間くらい)だけ使います。部屋をあまり暖めず、薄着にして寝てください。緑茶、ダイコン、カリン、ユズ、はちみつ、ナシなどは熱をとるといわれます。熱い飲み物、辛い物は控えてください。
漢方薬はお子さんも量を調整して使うことができます。
患者さんそれぞれの体質や症状により使い分けますので、診療にて詳しくお話を伺い、診察をして適切な漢方薬を処方させていただきます。ドラッグストアで購入できる漢方薬もありますので、風邪に備えて常備しておきたいという方は、使い方についてお気軽にご質問ください。
