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インフルエンザ新型コロナウイルス感染の対策について

全国的にインフルエンザ、新型コロナウイルス感染症が増えてきています。年末年始は人の移動が多く、感染が広がる可能性もあります。

インフルエンザは急激に増加していますが、2009年のパンデミックを起こしたH1N1の子孫が進化しながら流行を続けているだけで、病原性や重症度は従来と変わりありません。コロナ禍の後、世界的に人の移動がやっと戻りつつあり、通常のサイクルで流行が起こるかたちが戻ってきたと考えられます。

新型コロナウイルス感染は、2022年11月以降はオミクロンが主流であり、亜系統の中で置き換わりが続いています。最近は、オミクロンの亜系統の“XEC”が増えていますが、重症化や感染の強さについては、従来と大きな変化はないと考えられています。

年末年始は多くの医療機関が休みのためお困りになることがあるかと思いますので、インフルエンザ、新型コロナウイルス感染が疑われる症状があった際の対応についてお話ししたいと思います。

インフルエンザは基本的には自然に治癒する感染症です。抗ウイルス薬(タミフル、リレンザなど)は解熱が約1日早まるという効果は期待できますが、合併症リスクのない状態の良い方には必ずしも必要ではありません。ただし、合併症リスクの高い方は、入院や肺炎を減少させるために、抗インフルエンザ薬の使用が推奨されています。合併症のリスクの高い方は、65歳以上の高齢者、基礎疾患を有する方、妊婦の方、著明な肥満の方、6歳未満(特に2歳未満)の小児と言われています。(詳しくは、過去記事「インフルエンザについて 流行る前に確認を」をご参照ください。)

新型コロナウイルス感染も同様に、基本的には自然に治癒します。しかし、ごく一部の方は、肺炎が悪化するなどして重症化することがあります。重症化するリスクがある方は、65歳以上の高齢者、基礎疾患を有する方、妊婦の方、2歳未満の小児と言われています。高齢者、基礎疾患を有する方については、重症化を予防するために、抗ウイルス薬による治療が検討されます。

症状だけから、インフルエンザ、新型コロナウイルス感染、それ以外の風邪を見分けるのは困難です。例えば、同居家族が数日前にインフルエンザに罹患した、など明らかな接触歴がある場合は、同様の感染症の可能性がかなり高まりますが。よって、発熱、関節痛、咽頭痛、咳などが出現し、上記のインフルエンザや新型コロナウイルス感染の重症化のリスクの高い方は、早めに医療機関受診することを考えてください。逆に、重症化のリスクの低い方は、状態が悪くなければ、おうちで様子をみることができます。発熱や頭痛、関節痛に対して、必要があれば市販のアセトアミノフェンなどの解熱鎮痛薬を使い、水分をこまめに摂取して、体調を観察してください。重症化のリスクが低くても、ぐったりしている、水分がとれない、呼吸や意識の状態が悪い、という場合は、医療機関を受診してください

市販の新型コロナウイルス、インフルエンザの検査キットを活用するのもよいと思います。しかし、検査の感度は5〜6割ほどと高くないため、感染していても陽性とでないことがあることをご理解の上、ご使用ください。

予防として、手洗い、三密を避ける、人混みではマスクを着けるなど、流行状況に応じて、各自で感染対策をとることも大切です。

皆様どうかお元気でお過ごしください。