運動・ストレッチ 足腰・肩の痛み

腰部柱管狭窄症:腰痛と脚のしびれ

お盆になりました。お盆休みの方もおられると思いますが、この暑い時期に少し一息つけるといいですね。お休みでない方も、少しペースを落としてゆとりを持っていただけるといいと思います。

今日は、お年寄り腰痛、脚のしびれの原因の一つである腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)について書きたいと思います。思い当たる症状があるけれど診断がついていない方は、我慢せずに一度病院にかかることをおすすめします。軽いうちに体操や生活の工夫をしたりして進行を予防することもできます。腰椎椎間板ヘルニアなど他の病気のこともあります。

病態

腰の脊柱管が狭くなり、その中を通る神経の束(脊髄、馬尾)や束から枝分かれした神経の根元が圧迫されたり、神経への血流が低下したりして、症状が現れます。

原因の多くは、加齢により椎間板の質が劣化してつぶれ、つぶれた椎間板が後方に位置する脊柱管の方向にもはみ出してきて、脊柱管を細くすることです。重いものを持ち運ぶ仕事や腰への負担が大きい仕事、悪い姿勢を続けるという習慣も脊柱管を細くすることがあります。

症状

・おしりから脚にかけてのしびれや痛み

間欠性跛行(かんけつせいはこう):この疾患に特徴的な症状で、しばらく歩くと、腰やおしりから脚にかけてしびれや痛みが現れ、徐々に悪化してそれ以上歩けなくなります。しかし、しばらく休むと症状が軽くなり、再び歩くことができるようになります。

・坐骨神経痛(おしりから脚の裏面のしびれ、痛み)

・こむら返り

・排尿・排便障害(頻尿、尿失禁、便秘)

治療

第一段階 

・運動療法 (ストレッチ、体操、ウォーキングなど)

運動療法は保存的加療の中心です。軽い場合は、これだけで良くなることもあります。下に体操の一例をお示しします。受診時には詳しくお伝えします。

おなか、背中、おしりのほか、脚の筋力をつけることで脊柱を支えられるようになり、脊柱管が広がります。中高年になってもなんらかの運動を続けている人には、脊柱管狭窄症はほとんど見られないといいます。運動療法は良くなっても続けることが大切です。

・減量

・装具(コルセット、杖など)

第二段階  (第一段階と併用することもあります)

・薬物療法:痛み止め(飲み薬、貼り薬など)、血流を良くする薬(飲み薬)

・ブロック療法:神経根などに注射をして和らげる

第三段階

・手術

こんな時は受診を

・しびれや痛みが前より強まった

・間欠性跛行

・膀胱直腸障害

お気軽にご相談ください。精査が必要と判断した場合は、専門の病院をご紹介させていただきます。

「脊柱管狭窄症治療大全 黒澤尚」 より引用
立山の山頂で出会った植物