感染症科 婦人科系の不調

性器カンジダ症

“20代女性、昨日から陰部の焼けるようなかゆみと白色のおりものが出現しました。身の置き所のない痛痒さに夜も眠れません。”

これは性器カンジダ症でよくみられる経過です。
性器カンジダ症は約4人に3人の女性が生涯に1回はなるという一般的な疾患で、再発することもよくあります。

病態

・性器カンジダ症は、真菌の一種であるカンジダ属(主にはCandida albicans)よって起こる性器の感染症です。カンジダ属は消化管や皮膚などの常在菌(体の特定の部位にいるけどわるさはしない菌)で、消化管である直腸から肛門、膣へと移行します。

・女性では、外陰部と膣に感染と炎症を起こす膣炎、外膣炎を呈し、両者は合併することが多いので、一般に外陰膣カンジダ症といわれています。男性での発症は少ないですが、亀頭包皮炎を起こすことがあります。

・繰り返さない性器カンジダ症のほとんどには、誘因となるイベントはありません。年4回以上繰り返す場合(再発性外陰膣カンジダ症;5%未満)には次のような誘因がありますが、誘因があることは少ないです。

再発性外陰膣カンジダ症の誘因
・抗菌薬(抗生剤)
・エストロゲンの増加(生殖年齢の女性、妊婦、ホルモン補充療法)
・糖尿病
・免疫が低下している状態(ステロイドや免疫抑制剤の内服)
・遺伝 
など

症状

・女性は外陰や膣のかゆみ、焼けるような感覚、痛み、尿が出にくい、白色のカッテージチーズのような塊状のおりもの。

・男性は包皮、亀頭部の発赤、白色付着物、痒み、違和感。

治療

・局所の清潔と安静を保つ、刺激性のある石鹸を使わない、通気性のよい下着を使う、刺激の少ない生理用品を身につける、ということをします。

・薬物治療
① 膣錠を6日間連日、通院して投与します。
② 膣錠を週1回投与:通院が難しいときは、週1回投与する方法もあります。
③ 飲み薬を1回のみ内服:内服後4−7日目に来院していただいて効果を確認します。
④ 局所の塗り薬:①、②、③と併用します。
例)
①クロトリマゾール膣錠 6日間 連日治療+クロトリマゾールクリーム1% 塗布 
②イソコナゾール塩酸塩、膣錠 1週1回治療+クロトリマゾールクリーム1% 塗布 

・妊婦や授乳婦の方は、膣錠、塗り薬は使用できますが、飲み薬は使えません。

・外陰膣カンジダ症を繰り返す、免疫が低下する持病がある、重症化するという場合はより積極的な治療が必要なことがあります。

予後

・初回の治療により85-95%の患者さんは治癒します。

・適切に治療しても5-15%の患者さんは再発します。再発は精神的にも負担となります。再発を繰り返す場合は、誘因の検索、カンジダの種類の同定とカンジダに対する薬の効き具合を調べる検査などが検討されるため、受診してください。

【OTC(over the counter drug):市販薬】
OTCとして外陰膣カンジダ症の再発例に対する局所治療薬(局所塗布剤、膣錠)がドラッグストアなどで市販薬として発売されました。市販薬を使用しても改善しない場合や、2ヶ月以内に再発した場合は、病院を受診して診察、検査を受けてください。

お気軽にご相談ください。

ザトウクジラは、12月から4月に故郷である渡嘉敷島に繁殖・子育てのために帰ってきます。