内科 感染症科

感染症の考え方 ~薬剤耐性菌~

抗菌薬(抗生剤、抗生物質)は細菌をこわして感染症を治す薬ですが、細菌は抗菌薬から身を守るために「抗菌薬が効かない仕組みを身に着ける(耐性化する)」ことがあります。これを薬剤耐性菌(耐性菌)といいます。

抗菌薬は数十種類しかありません。それらに耐性を獲得し抗菌薬が効かなくなると、感染症の治療手段がどんどんなくなっていきます。
耐性菌は1980年代に確認されてから増えており、このまま対策がとられなければ2050年までに耐性菌による全世界における死者数は1000万人に上り、がんによる死亡者数を上回ると推計されています。

日本を含め世界の国々が、耐性菌を減らすための取り組みを掲げています。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000120172.html
細菌は人と人、人と物との接触により伝播するため、耐性菌は家庭、学校、会社、地域に広がります。私は適切に抗菌薬を使うことで、地域の耐性菌を減らしていきたいと思っています。

薬剤耐性菌を作らない、そして減らすために

・必要なときだけ抗菌薬を処方します(風邪に抗菌薬はいりませんね。過去記事参照:「感染症の考え方~原因となる微生物、抗菌薬について」)。

・抗菌薬は適切な量と期間で処方しますので、用法通りに飲んでください。
抗菌薬が少ない量で投与され中途半端に効いた状態になると、しっかり使っていればやっつけられていたはずの耐性菌が生き残り、薬に弱い菌だけがいなくなるという、「耐性菌に甘く、耐性をもたない菌に厳しい」環境が体にできてしまいます。

・耐性菌を広げないように、手指衛生と清掃をしっかり行います。

よろしくお願いします。

12月の渡嘉敷島。ズッキーニがぐんぐん育っています。