沖縄の離島診療所から 小児科 感染症科 応急処置・予防

渡嘉敷便り6 クループ症候群

午前3時に救急患者を知らせる電話が鳴りました。
お母さんとお話すると、「1歳の娘が、午前2時から急に動物の鳴き声のような咳をしています。」と心配されていました。

受診していただき、クループ症候群と診断しました。
クループ症候群は、一般的には生後6か月~3歳の子どもが罹患します。ウィルス感染などを契機に喉頭と気管が炎症を起こしてむくみ、空気の通り道が狭くなるため、突然クオックオッというオットセイのような咳や、息を吸うときの喘鳴を認めます。夜に悪化することが多いです。

泣いたりすると症状がひどくなることがあるため、まずは抱っこをするなどして安心させてください。軽いうちなら夜の寒い空気を吸うとよくなることがあるため、窓を開けたり外に出たりしてみてください。それでも改善しない場合は、病院を受診してください。

呼吸が苦しくて話すことができない、顔色が青白い、よだれを垂れる、飲み込みができないといった場合は、直ちに病院を受診してください。

治療としては、病院ではエピネフリンの吸入やステロイドの投与などを行います。クループ症候群であれば予後は良好で、ほとんどが完全に回復します。

クループの咳は、“犬の吠える声”と表現されることもありますが、“オットセイの鳴き声”の方が近いように思います。